PCR検査
実は私、医療従事者です。
もっというと、臨床検査技師です。
今は臨床の現場で働いていませんが、
数年前まで大学病院で白衣を着て試験管に囲まれて仕事してました笑。
今回のコロナウイルスで違和感を覚えるのは、PCR検査のこと。
一番知ってほしいのは、
かなりトレーニングされた人しか、ちゃんと結果を出せません。
「ちゃんと」とは、
患者さん本人の結果を、検査者や、他の人の検体にウイルスを移さず正しく報告する、
ということです。
「かなりトレーニング」とは、少なくとも数週間は熟練した人にびっちりついて、
あーだこーだ怒られながら手技を身体に染みこませる作業を指します。
それは一朝一夕では身につきません。本当です。
マスクの付け方、
防護服の着脱の仕方、
手指消毒の方法などなど、
菌を扱う以前に大事なヤマがあり、いつもは優しい先輩にも厳しく指導されました。
それ以後も、試験管のフタの開け方とか、普通の検査と訳が違います。
それは、命に関わることだから。
自分の命でなく、自分の不注意によって他の不特定多数の人の命に関わるから。
このトレーニングは1ヵ月はかかりました。
これを機械を導入して早くPCRの検査数を増やせと言っても無理な話です。
ある大学病院では、COVID-19が蔓延する前の時点で
その人が日頃のルーチン検査に加えて、急に増えたCOVID-19検体の検査、
それに加えて他の技師への教育なんて無理です。
キャパを超えれば検体の取り違えやその技師への感染など、
本来起こらない大きなリスクを抱えることになります。
PCRの検査件数が増えるメリットは承知していますが、
その裏には大きな落とし穴があること、覚えておいてくださいね。